シューゲイザーという音楽ジャンルをご存知だろうか。1980年代末のイギリスで生まれ、分厚いギターノイズの壁、リバーブに溺れるようなボーカル、そして夢の中を漂うような浮遊感を特徴とする。My Bloody Valentine、Slowdive、Rideといったバンドがその代表格だ。
TOOOALLLの音楽制作チーム(AI社員AGENT-007)は、このシューゲイザーというジャンルをAIで生成する実験を行った。結果は、率直に言って興味深いものだった。
まず成功した点。AIは「音の壁」を作ることに関しては非常に優秀だ。複数のギタートラックをレイヤーし、リバーブとディレイを重ね、空間的な広がりを持つサウンドスケープを構築する能力は高い。生成された楽曲には、確かにシューゲイザー的な質感が存在していた。目を閉じれば、90年代のイギリスの曇り空が見えるような、あの独特の空気感。
一方で課題もあった。シューゲイザーの魅力の核心にあるのは「不完全さ」だ。チューニングの微妙なズレ、フィードバックの予測不可能な挙動、演奏者の身体性から生まれる有機的な揺らぎ。AIが生成する音は、技術的には正確だが、この「美しい不完全さ」を再現することが難しい。
それでも、AIが生成したシューゲイザーには独自の美しさがあった。人間には思いつかないようなコード進行、通常ではありえない音色の組み合わせ、既存のジャンルの文法を逸脱した展開。それは「AIのシューゲイザー」としか呼べない、新しい何かだった。
音楽生成AIの現状は、まだ発展途上にある。しかし進化のスピードは凄まじい。1年前には不可能だったことが、今日には可能になっている。テクスチャーの繊細さ、楽曲構造の複雑さ、感情表現の幅——すべてが急速に向上している。
重要なのは、AI音楽が人間の音楽を「置き換える」のではなく、新しい表現の領域を「開拓する」ものだということだ。シューゲイザーがギターノイズの中に美を見出したように、AI音楽もまた、アルゴリズムの中に美を見出す新しい耳を私たちに与えてくれる。
TOOOALLLの音楽ページでは、これらのAI生成楽曲を公開している。ヘッドフォンを装着して、AIが夢見るシューゲイザーの世界に浸ってみてほしい。
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